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尋常性乾癬

当院では尋常性乾癬、乾癬性関節炎の診療を行なっています。
尋常性乾癬、乾癬性関節炎の患者さんのQOL(生活の質)を可能な限り向上できることを目指して病状にあわせて生物学的製剤を積極的に用いて診療を行なっています。
乾癬性関節炎のみならず尋常性乾癬に関しても「早期診断」に力を入れており、臨床経験に常に最新の情報を取り入れて診療にあたっています。内科医の視点から合併症を含めたトータルマネージメントを行っているのも特徴です。

乾癬の症状

乾癬の特徴的な症状

乾癬(かんせん)では皮膚が赤くなる「紅斑(こうはん)」、その部分が盛り上がる「浸潤・肥厚(しんじゅん・ひこう)」、皮疹の表面に銀白色のフケのようなものができる「鱗屑(りんせつ)」、そして鱗屑がポロポロとはがれ落ちる「落屑(らくせつ)」という症状があります。

悪化すると皮疹の数が増え、皮疹どうしがくっついて、地図のように幅広い皮疹になります。広範な皮疹でも正常な皮膚との境界がはっきりしているというのが特徴です。 表皮の細胞は生まれてから徐々に表層に移行し垢としてはがれ落ちます。尋常性乾癬では表皮細胞が異常に増殖するため、過剰に作られた表皮(角質)が積み重なり、やがてはがれ落ちますが、これが見た目の肥厚・鱗屑を形成しています。 この過程で炎症性の細胞が集まってきて活性化するため、毛細血管が拡張して赤みを帯びたようになり、これが紅斑を形成します。

皮疹ができやすい部位

乾癬の皮疹の多い部位は、
頭皮(特に生え際)、臀裂(おしりのこすれる部位)、下腿(ふくらはぎ)、臍部(おへそ)、関節の伸側などです。
関節の屈側はアトピー性皮膚炎の好発部位なのでそれとは対照的です。
皮膚科を受診してもある程度悪くなってからでないと診断に至らないケースが多く、長いあいだ診断名をつげられないことが非常に多いようです。
特に「頭皮」の病変は、ながいこと脂漏性湿疹として扱われてしまっていることが多いようですので、特徴的な部位に皮膚症状がある場合は、当院や最寄りの乾癬専門のクリニックでご相談いただけると良いと思います。

かゆみの症状

かゆみを感じる患者さんは約半数ですので、かゆみを伴わないことも多いと言えます。かゆみは炎症と関連するため入浴などあたたまったときにでやすいのも特徴です。皮疹のない部分を擦ったり、刺激したりすると、あらたな皮疹ができることも多く、これをケブネル現象といいます。かゆくてもかかないように注意しましょう。

爪(つめ)の変化

乾癬では『つめ』に症状があらわれることが多くあります。
主に、爪の表面に小さなボツボツとした凸凹ができる「点状陥凹(てんじょうかんおう)」、爪が浮き上がって白い部分が増える「爪甲剥離(そうこうはくり)」、爪が分厚くなり、分厚くなった爪がボロボロはがれ落ちる「爪甲下角質増殖(そうこうかかくしつぞうしょく)」などの症状が特に特徴的ですが、その他の爪の変化も乾癬の病変の可能性があります。
増悪すると水虫(爪白癬)様の爪の変化になるため、これがあり皮膚科の検鏡などで水虫(爪白癬)が否定されると乾癬の爪病変の可能性が高いと考えても良いと思います。
爪の症状は乾癬の中でも乾癬性関節炎の患者さんに多く、6〜8割以上の患者さんで認められると言われています。

乾癬性関節炎の症状

関節症状の起こりやすい部位は、手指、足趾、足裏(足底腱膜炎)、肘、膝、足首(アキレス腱)、腰背部(脊椎)などです。
乾癬性関節炎では「付着部炎」と言い、骨に付着する部位の腱の炎症が特徴とされます。悪化するとリウマチと見分けがつかないような滑膜炎、いわゆる関節炎になります。
リウマトイド因子(RF)や抗CCP抗体など、リウマチに関連した検査は陽性のこともありますが、多くの場合は陰性であり、いくつかの関節に痛みや腫れがあり検査に異常がない場合やリウマチと異なるような関節の症状がある場合は乾癬性関節炎の可能性があります。
DIP関節(指の第一関節)の病変が特徴であり、へバーデン結節とか「歳のせい」として放置されてしまうことが多いようです。

関節症状にお困りで整形外科等でリウマチを否定された場合も、乾癬性関節炎の可能性がありますので注意が必要です。 これらに関しては最近わかってきたばかりでもあることから、2021年現在においては適切に診断できる医師がまだ少なく、これを踏まえて病院を受診されてもなお乾癬性関節炎を否定されてしまう現状があります。
誠に申しないところではありますが、患者さん自身が根気よく専門医を探す必要もあるかもしれません。

乾癬の種類

乾癬は症状やそのあらわれかたの違いにより、次の5つの種類に分けられます。

その中でも多いのは尋常性乾癬と乾癬性関節炎です。 以前は90%が尋常性乾癬と言われていましたが、実際には関節炎を有する患者さんは多く、日本皮膚科学会の統計でも乾癬性関節炎の割合が年々増加しており、乾癬性関節炎の患者さんもかなり多いことが想定されています。乾癬の患者さんで関節症状がある方は当院などリウマチ専門医にもご相談いただくと良いと思います。

  1. 尋常性乾癬
    (じんじょうせいかんせん)


    ・最も多いとされており、一般的に乾癬というと尋常性乾癬を指します。

    ・紅斑(こうはん)(皮膚が赤くなる)、丘疹(きゅうしん)(皮膚の小さな盛り上がり)、浸潤(しんじゅん)(皮膚の盛り上がり)、鱗屑(りんせつ)(銀白色のフケのようなもの)が組み合わさって皮疹があらわれます。

    ・はじめの丘疹が大きくなり、他の皮疹とくっつくことで幅広い赤く盛り上がった皮疹となることがあります。

    ・頭、ひじ、ひざ、おしり、太ももなど擦過部位に皮疹ができやすいのが特徴です。

    ・爪の表面に小さなボツボツとした凸凹ができ、爪が浮き上がて白い部分が増えたりします。爪病変がある方は関節炎を合併することが多く、実際は乾癬性関節炎であることが多いことがわかってきたところです。
  2. 乾癬性関節炎
    (かんせんせいかんせつえん)


    ・乾癬の皮疹に加えて、関節痛や関節の腫れ、変形があらわれます。関節リウマチと似ていることが多く、関節リウマチと診断されてしまうこともあります。

    ・関節痛よりも皮疹が先にあらわれることが多いとされていますが、関節炎が先行して発症することもあります。

    ・関節痛のほかに、アキレス腱や足裏の腱の痛み、腰や背中の痛み、指全体の腫れなどがあらわれ、これらの症状は実は最も乾癬性関節炎に特徴的で早期からみられる重要な症状であることが判明しており、乾癬性関節炎の早期診断のきっかけになることがあります。
  3. 乾癬性紅皮症
    (かんせんせいこうひしょう)



    ・全身の90%以上の皮膚が赤くなり、鱗屑(銀白色のフケのようなもの)ができ、ポロポロとはがれ落ちます。

    ・尋常性乾癬が全身に広がって乾癬性紅皮症になることも多いとされています。

    ・発熱や悪寒を伴うことも多く、むくみや脱水症状があらわれることもあります。
  4. 滴状乾癬
    (てきじょうかんせん)


    ・かぜや扁桃炎などの感染症に続いて、からだや手足に0.3~1㎝程度の皮疹があらわれます。

    ・子供や若い人で発症しやすいと言われています。

    ・1~3か月で皮疹が消失しますが、治癒せず尋常性乾癬に移行することもあるので注意が必要です。
  5. 膿疱性乾癬
    (のうほうせいかんせん)


    ・発熱、悪寒、からだのだるさとともに、全身が赤くなり、膿疱(膿(うみ)を含んだ水ぶくれのようなもの)がたくさんあらわれます。

    ・尋常性乾癬の経過中に発症する場合と突然発症する場合があり、よくなっても再発を繰り返すことがあります。

    ・乾癬のなかでは発症する割合が最も低いですが、他の病気を合併することもあるため、早めに適切な治療を受けることが大切です。

乾癬の病因・病態

発症の原因

乾癬の発症原因については、まだはっきりとはわかっていませんが、多くの病気と同じように遺伝的な要因に環境要因が加わって発症する多因子疾患であることが明らかとされています。

遺伝的な要因は乾癬になりやすい体質のことであり、HLAなどの遺伝子によって規定されます。環境要因は外的要因であり、感染症、皮膚への刺激・外傷、肥満、糖尿病、高血圧、精神的ストレスなどがあります。遺伝的な要因と環境要因が複雑に関わりあって、からだの免疫システムの異常が起こり乾癬を発症するので、特定のひとつが原因ということはありません。

炎症性サイトカイン

乾癬では「炎症性サイトカイン」が重要な役割を果たしています。
サイトカインは免疫機能や炎症などに関わるたんぱく質で、そのなかでも炎症に関連するものが炎症性サイトカインです。炎症性サイトカインも多くの種類がありますが、乾癬ではIL-17A(インターロイキン・17・エー)、IL-23(インターロイキン・23)やTNF-α(ティーエヌエフアルファ)が病態に深く関わっているとされています。

メカニズム

炎症性サイトカインは「皮膚細胞が異常な増殖」と「炎症」を引き起こします。この「皮膚細胞が異常な増殖」により、乾癬患者さんでは皮膚の新陳代謝が活発になります。正常な皮膚では、表皮が作られて垢(あか)として剥がれ落ちるまで45日かかりますが、乾癬患者さん5~6日程度、約9倍の速さで新しい表皮に生まれ変わるとされています。

皮膚の細胞が異常に増えて厚く積み上がると、積み上げられた表皮は鱗屑(銀白色のフケのようなもの)となってポロポロ剥がれおちます。炎症性サイトカインは血管形成に関わる物質の産生も促し、炎症とともに新たな血管が作り出されるため皮膚が赤くなります。乾癬性関節炎における関節症状も同様に炎症性サイトカインによって関節に炎症が起こり、痛みや腫れ、関節破壊が引き起こされています。

乾癬の診察と検査

問診

・発症年齢・家族歴・過去にかかった病気、現在かかっている病気や症状

・服用中の薬剤・生活歴(喫煙、飲酒)・かゆみの有無・関節痛の有無など

視診

・乾癬の病変があらわれやすい部位(頭、ひじ、ひざ、すね、腰、おしりなど)に、紅斑、浸潤・肥厚、鱗屑などの典型的な症状がないかを確認します。

・頭は髪の毛をかき分けて全体を確認します。
特に生え際、頭の後ろ部分、耳の中、メガネのあたる部分に多いので、これらをよく観察します。

・爪の観察もとても大切です。
表面のボツボツした凸凹、爪の浮き上がりなど、乾癬に特徴的な爪の変化を確認します。乾癬と区別がつきにくい足白癬、爪白癬(足の水虫、爪の水虫のこと)が疑われる場合は、皮膚や爪の一部を採って顕微鏡で調べます。

血液検査

肝臓や腎臓の機能など基本的なからだの状態を把握することは治療方針を決定するうえで重要です。

乾癬の患者さんは糖尿病や脂質異常症を合併することが多いため、これらの検査も重要です。直接的にはCRP(C反応性たんぱく)など全身の炎症の程度をみますが、これは特に関節炎を伴う患者さんで高値となります。
RF(リウマトイド因子)、、MMP-3(マトリックスメタロプロテアーゼ-3)など関節リウマチに関連した項目もときに異常がみられることがあり、治療薬の選択において参考とされます。

当院は院内検査を行なっていますので総合病院と同じように受診当日に検査結果を確認できます。

画像検査
(X線検査・超音波検査)

関節炎の有無やその状況、関節破壊の程度を確認できます。
当院ではすぐにこれらの検査を行うことができます。

乾癬の合併症

心筋梗塞・メタボリックシンドローム

乾癬の患者さんは糖尿病、脂質異常症、高血圧などメタボリックシンドロームに関連した病気を合併しやすいことが知られています。乾癬は皮膚だけでなく全身に炎症を生じる病気であるため、炎症が続くことでインスリンの作用が十分に発揮できない “インスリン抵抗性” がおこり、これが糖尿病、脂質異常症、高血圧などの原因になっているようです。

乾癬の患者さんでは動脈硬化の進行が早く、若い頃から心筋梗塞の発症が多いことが知られています。これにはいま述べたメタボリックシンドロームの影響もありますが、実はそれだけでなく乾癬自体も独立したリスク因子になっていることがわかっています。関節炎を有する患者さんはさらにリスクが高いこともわかっていますので、慢性的な炎症の影響が大きいのかもしれません。
したがって適切な治療で乾癬とメタボリックシンンドロームをコントロールすることが大切であり、当院では乾癬自体の治療はもちろんのこと、メタボリックシンドロームの治療も厳格に行うことを推奨しています。

腰痛・背部痛は乾癬が原因の可能性

乾癬では約4割の患者さんで腰痛や背部痛があるとされています。

2021年現在ではほとんどの患者さんが単なる腰痛として痛み止めや整形外科のリハビリテーションで様子を見られているようです。これらの多くの患者さんが乾癬の脊椎病変を有している可能性があることが指摘されています。 乾癬による腰背部痛は炎症性腰背部痛であり、その特徴は夜間の痛みです。起き上がるときの痛みは様々な原因がありますが、寝ていて自然と痛くなるのはおかしいことであり炎症が原因と考えられます。

炎症性の腰背部痛の2つ目の特徴は、安静よりも運動で改善することです。じっとしているのが辛いのが特徴と言えるでしょう。思い当たる人も少なくないのではないでしょうか。
この腰背部痛もあまり認知されておらず、2021年現在ではなかなか適切に診断してもらえない現状があります。患者さん自身で根気強く乾癬を専門的に診療しているリウマチ医や整形外科医を探す必要があるかもしれません。

うつ症状

乾癬は見た目にわかる症状であるため、人の視線が気になったり、外出や友達との付き合いを控えたり、半そでの洋服が着られなかったりと、精神的ストレスを抱えることも多く、うつ症状を合併することも少なくありません。

慢性的な炎症で炎症性サイトカイン等が神経に作用して、うつ症状を増長するため、実際に乾癬患者さんの4人に1人がうつ症状を有しているとされています。
精神的ストレスは乾癬を悪化させる要因にもなるため、気分の落ち込み、何をするにもやる気が出ない、夜眠れないなどの症状がある場合は医師や看護師さんなどになるべく早めに相談するようにしましょう。

眼が赤い・痛い・見え方がおかしいなどの症状

ぶどう膜炎や炎症性腸疾患などの特殊な病気も乾癬患者さんの一部で合併することがあります。

頻度は高くはないので過剰な心配は不要ですが、ぶどう膜炎は眼の中に炎症を起こすため放置すると失明することもあるので注意が必要です。眼が赤い、眼が痛い、まぶしい、霧がかったようにみえるなどの症状がある場合はすぐに眼科を受診しましょう。乾癬の症状の重い患者さん、関節炎を伴う乾癬性関節炎の患者さんはぶどう膜炎を合併しやすい傾向があるので特に注意が必要です。
炎症性腸疾患の合併はさらに稀ですが、治療薬を選択するうえで重要ですので、腹部症状がある患者さんは主治医に相談しておくことをお勧めします。

治療(現状と当院の方針)

乾癬性関節炎の治療法

治療の遅れは関節破壊やQOL(生活の質)の低下につながるため、乾癬性関節炎では早期から生物学的製剤やJAK阻害薬などの分子標的薬を用いた治療が推奨されています。

当院ではIL-23阻害薬(トレムフィア®︎)、IL-17阻害薬(コセンティクス®︎、トルツ®︎)、TNF阻害薬(シムジア®️、ヒュミラ®︎、レミケード®︎)のみならず、JAK阻害薬(リンヴォック®︎)で治療を行なっています。これらの薬剤は高額であるため、使用が難しい患者さんもいますので、その場合はメトトレキサートなど乾癬での使用が認められている抗リウマチ薬を中心に治療を行います。後者でもある程度良い状態にできますが、病気を忘れることができるぐらい充分によくなるにはやはり分子標的薬が必要な患者さんが多いのが実情です。
生活の支障が大きい患者さんやスポーツやピアノ、美容などより高い目標をもたれる患者さんは、コストベネフィットを考慮のうえ分子標的薬による治療をお勧めしています。

尋常性乾癬の治療法

尋常性乾癬ではピラミッド式に外用療法、光線療法、免疫抑制療法、生物学的製剤などの分子標的薬という順に弱いものから順番に治療が行われています。関節リウマチなど他の多くの疾患も過去にはそうでしたが、乾癬も免疫疾患ですので早期にしっかり治療することが大切であることは同じです。

今後はリウマチなど他の多くの疾患と同じように治療方針も変わっていくことが予想されます。日本皮膚科学会の調査でも乾癬患者さんの治療満足度が低いことが指摘されており、QOL(生活の質)の改善が十分でないことが原因となっているようです。
これらのことから今までより一歩進んだ治療ができると良いのかもしれません。生物学的製剤などの分子標的薬は高額ですので、コストベネフィットを充分に相談して検討する必要がありますが、必要としている患者さんはもっと多いように思われます。

当院は患者さんとのコミュニケーションを重視しており、順序に拘らず患者さんのお困りごとや目標にあわせてこれらのなかから治療をご提案しています。 外用療法のみで治療中の患者さんもいますのでお気軽にご相談ください。

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